『ビストロ流ベーシック・レシピ』
「ル・マンジュ・トゥー」谷シェフのレシピ本。世界文化社2013年11月刊。「ベーシック」というタイトルどおり、巻頭に誰もが愛する洋食として「ハンバーグ」「オムライス」「チキンライス」「欧風ビーフカレー」「シーフードマカロニグラタン」「海老フライ」「かにクリームコロッケ」と7点を紹介。
それから肉料理14点、魚料理10点、ドレッシング&ソース14点、野菜料理21点、じゃがいも料理9点、卵料理9点、煮込み料理11点のレシピが掲載されています。
『ビストロ仕込み・・・』以来の一般向けのレシピ本です。柴田書店から2003年にプロ向けの『素描(デッサン)するフランス料理』がありましたが、こちらは食材のハードルが高すぎだったので、見つけてうれしかったです。
「ハンバーグ」や「ビトック」などの挽肉料理は、つなぎを使わないので冷やして粘りを出すようにこねるとか、カレーにいれる野菜は甘みをひきだすために揚げ焼きにする、フライパンでつくるローストビーフなど、試したいことばかりです。
そして煮込み料理のレシピにはありました!「プーレ・オ・ヴィネーグル」
『ビストロ仕込み・・・』にもあった骨付き鶏肉のヴィネガー風味です。今回は4人前から2人前にやさしく変更。骨付きもものさばき方、塩の仕方、焼き方までばっちり習得してますので復習です。
発見は、さばき方で「すねの先の細い部分に切り込みをいれてアキレス腱を切り、焼き縮みやつれを防ぐ」!これ鶏モモでよくあるんですよね、メモメモ。
さて、仕上げですが、ななんと ビネガーは白から赤ワインビネガー押しに代わっています。ぶっちゃけ、ワインビネガーのちがい舐めてもよくわかりませんが、火を入れた時の香りですかね。今度ワインビネガーだけでやってみようかな〜。もったいないか。
お値段も1600円、洋食のレシピ本1冊だけ買うならこれしかないでしょ〜。(783字)
ビストロ流 ベーシック・レシピ -----ル・マンジュ・トゥー 谷昇シェフの
- 作者: 谷昇
- 出版社/メーカー: 世界文化社
- 発売日: 2013/11/02
- メディア: 単行本
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『ゆっくり発酵スコーンとざっくりビスコッティ』
最近、家で糖質を控えるようになったので、以前ほどパンを焼かなくなってしまったのですが、高橋雅子さんの『少しのイーストでゆっくり発酵パン』(2007年1月PARCO刊)がきっかけで粉もんに燃えました。10年ンくらいまえですね。
この本の素晴らしいのはイーストを少な目で発酵させるので夜寝る前に仕込んで、翌朝焼きましょうというサイクルでやるので、時間が効率的に使えること。レシピも基本のプチパンからハード系までひととおり網羅されているのでこれ一冊でいろいろ試せました。高橋さんの本がすっかり気に入ってしまったので『ゆっくり発酵スコーンとざっくりビスコッティ』と『ゆっくり発酵ベーグル』も買いました。
スコーンとビスコッティはボールとカードだけでできるので、パンよりもお手軽です。スコーンはこの本のレシピでつくると層ができて、いいカンジの食感になりました。ビスコッティは2回焼きますが、発酵もいらないのでさらに簡単かもしれません。
ベーグルはねじてつなぐ成形とお湯で茹でるケトリングという工程が達成感があって楽しいです。
手作りパンやベーグルがハードル高いと感じる方は、『スコーン・・・』が粉もん入門書としてはよいと思います。こねる台とかいらないので。(624字)
『とっておきの酒のつまみ』
京都祇園さゝ木 主人・佐々木浩のとっておき酒のつまみ (講談社のお料理BOOK)
- 作者: 佐々木浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/05/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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日本酒にあう肴をつくろうというお題がありまして、祇園の佐ゝ木のご主人が書いたこれをオンラインで注文しました。実物みてたら悩んだかも・・・。
表紙のコピーには「あの名店の大将が仕事の後の自分のために作る絶品酒肴70選!」とあります。コンセプトはまえがきにあるとおり、「全国どこでも入手できる定番の調味料を使い・・・」「グラム数やミリリットルも家庭用に四捨五入」ということらしく、そこが私的にはちとマイナスポイント。巻末に紹介されている調味料も気になったのは石野の白みそ、臨醐山の黒酢ぐらいであとはスーパーで並んでいるようなものばかり(コンセプトどおり)。もう佐々木さんのこだわりを出してほしかった。
70選は、
- 和えるつまみ(17)、
- 焼くつまみ(17)、
- 煮たり炊いたり(15)、
- 揚げる炒める(5)、
- 〆の一杯(10)
と実は64じゃんか、とつまらないツッコミをいれておきます。コラムで紹介のだし汁、土佐酢、玉みそをいれても足りませんね。
でも色々参考になりそうなところが多々ありました。たとえば
・「かぼちゃのクリームチーズ和え」「焼きポテトサラダ」かぼちゃもポテトも焼いて旨みを凝縮させるというアプローチ
・魚の塩焼きは重量の2%の塩で、茶こしを使ってまんべんなくふる
・「手羽先と冬瓜の炊いたん」では鶏の実ではいちばん旨みが強いのは手羽先、グリルで焼き色がつくまで焼く。冬瓜のゆでかげんは、表面が少し透明になるくらい
・「鶏肝煮」では、レバーを熱湯にさっとくぐらせてから牛乳に30分浸して水洗い
など、ぜひ試したいところです。
「きずし」の鯖の処理も、塩ふって2時間おいて脱水、水気をふいて、最低6時間おおいて(塩を浸透させてから)から、酢でしめるのがよいそうです。
佐々木ファンなので期待値が高すぎましたが、肴のレシピ本としてはオススメです。(869字)
『新版ごはんとおかずのルネサンス』基本編
代官山のイルプルーというフランス菓子のパティシエ弓田亨さんと椎名眞知子さんの本。新版とありますが、2010年に改訂版として出された本。
レシピ本でありながら、お二人の提唱するルネサンスごはんの哲学書といえるような気合いの入った本。
基本の考えは
1)先人の日本の食、素材に立ち返る
2)いりこを中心、昆布、鰹節など合わせて出しをとり、全部食べる
3)灰汁抜き、下茹でしない
4)砂糖・みりんは使わない
5)味噌の重要さを再認識
6)化学製塩をやめ、海塩、岩塩を使う。
ということ。1と4と6は、『医学不要論』などで知られる内海医師の主張と同じです。砂糖・みりんを使わないと多くの和食レシピがNGとなりますが、パティシエの著者が断言しているのは注目に値するのではないでしょうか。
料理法としても、冷凍保存ダメ、電子レンジダメ、圧力鍋ダメと栄養素を破壊するのはNGだそうです。
ごはんを炊くのも、玄米とタイ米をミックスして、いりこ、昆布、岩塩、スペイン産アーモンド、オリーブオイルと一緒にという初めてみたらビックリのレシピです。
お子さんがアトピーとかで困っているお母さんはいちど参考にされたらいいのではないでしょうか。(657字)
ごはんとおかずのルネサンス 誰もが忘れていた日本の真実の味わい 〔基本編〕 (ごはんとおかずのルネサンスプロジェクト)
『祇園さゝ木の12か月 直伝レシピ手習い帖』
日本料理のレシピというと黒豆を炊くのに錆びた釘を、とかイマドキ錆びた釘が家庭にあるのか、とツッコミたくなったりして、あまり食指が動かないのですが、こちらは出汁の取り方をはじめ、コンサバな日本料理界にあってオープンマインドなスタンスが気持ちいいので購入。予約の取れない祇園ささきのご主人が伝授する37品のレシピが掲載されています。
先日オンエアされた『食彩の王国』(たまごhttp://www.tv-asahi.co.jp/syokusai/)で、餌に昆布まで使っているのに触発されて・・・というエピソードにも登場してました。
本は2009年3月朝日新聞出版刊。けっこう昔の本でした。佐々木さんの数少ないレシピ本で、お店で出てくる高級食材がメインなので、気軽にお試しできるメニューはあまり多くないのですが、ご主人の考え方やアプローチが12か月に分けて紹介されているので読み物としても楽しめます。
出汁は昆布を水出して、夏は二晩、冬は三晩付ける!というので、ものぐさ、週末料理派には朗報ではないでしょうか。カツオ節は85度で投入し、92~3度で火を止めて、温度が上がりすぎないように玉杓子1杯の水をいれて、火からおろして5分待てばいいそうです。簡単っす(笑。それから、キッチンペーパーやさらし布でなく、ネルの生地で漉すのがベストだそうです。温度計はあるけど、ネルはどこで買ったらいいでしょうかね。渋谷のマルナンが閉店しちゃってますからね。
また、見学に来たフランス人二つ☆シェフに出汁の取り方を見せたら、その場でカブをおろして出汁をとってみせた・・・というエピソードも紹介されています。
うちの場合、ものぐさなので普段は利尻昆布と長崎のいりこを水につけて半日以上漬けて放置。昆布もいりこも味噌汁の具として食べちゃいます。
あと、時々場外で鯖を買って〆るのですが、佐々木さんの鯖寿司は、塩をして1週間も寝かせる!というのはビックリです。6時間塩して水分を拭き取って真空にしてからだそうです!!私が参考にしている江戸前の寿司屋さん(HPですけど)はそこまでしてるのは見たことないですね。
レシピ本は2冊しか出されてないのでささ木ファンは必携かも。
料理のなかの小宇宙『レザンファン ギャテのテリーヌ』
料理歴15年にしてはじめてテリーヌにハマりました。きっかけは代官山の「レザンファンギャテ」に伺って、なんじゃこりゃ〜。美しいウマい! 本のタイトルに小宇宙とありますが、アートじゃんかというプレゼンテーション。それまでテリーヌなんて、オードブルか保存食でしょと思ってました。松澤シェフすいません、浅はかでしたw。
さてテリーヌ関連本、書店でいろいろ拝見しましたが、やはり「レザンファン」に敬意を表して(世界文化社2014年9月刊)この本を購入しました。
美しい・・・すごい手間掛かっている、というレベルです。
1)四季を感じる旬菜テリーヌ(14点)、2)伝統の一皿とアレンジテリーヌ(12点)
3)リエットやパテ〜フランス常備菜風のテリーヌの仲間達〜(7点)、4)デザートテリーヌ(10点)、5)テリーヌが流れを作るおもてなしスタイル(コース2種:計7点、パーティ2種:計10点)と、テリーヌ以外のレシピも少し紹介があります。
もうちょっと入門的な素材でもやってよ~と言いたくなりますが、ミシュラン☆ですから、妥協はありません。
型はストウブのハーフを推奨、アルミホイルやラップの入れ方など基本的なことのヒントになる記事もあります。
やってみると分かるのですが、材料いれて湯煎で焼くだけなので仕込みのあとは楽ちんですが、焼きあがった後に、きれいに取り出して切って仕上がりの断面がどうなったか見るというのがもっとテンションあがる瞬間です。
じつはテリーヌというのは、テリーヌの型を使っていればなんでもよしというザックリした定義らしい。とはいえ、代表的なものはパテドカンパーニュのように湯煎で火をいれるものか、ゼラチンなどで冷やして固めたものの2パターンです。
この本にも伝統的な料理(例えばラタトゥイユ)からテリーヌにコンバージョンするという例が紹介されていたり、海老芋と海老のテリーヌのようにダジャレから発想したと記されていたりして、イマジネーションを働かせてクリエイトしている様子が読み取れます。手に入りやすい食材をつかって、オリジナルで広島焼風テリーヌとかやってみいいのでは~?と思っています。(972字)
『蒸すっておいしい』
昔、横浜の中華街「照宝」でセイロを衝動買いしたものの、焼売ぐらいしか出番がありませんでした。
こちらの本(文化出版局2000年11月刊)を手に入れて、茄子やジャガイモを蒸したり、エビのすり身を作ってレンゲにのせて蒸したり、色々とバリエーションができました。
なかでも簡単で美味なのが蒸し魚。内臓とって鱗を落として、ごま油、ナンプラー、ショウガなどを加えて蒸すだけで、お~っと感動の美味しさです。
魚をグリルで焼くとあとの片付けが面倒ですが、蒸すだけなのでラクチンです。著者はNHKの料理番組にもよく登場する吉田勝彦さん。代々木上原の「ジーテン」のオーナーシェフ。余談ですが、吉田を中国語読みをするとジーテンなんだそうです。
レンコンで海老とひき肉を挟んで蒸すのも簡単で食感が楽しめます。シュウマイや餃子のタネが余っても、挟んで蒸しちゃえばいい感じです。
あと興味深いのが蒸し餃子にもシュウマイの皮を使うところ。つるりとした触感を味わうためだそうです。そもそも餃子とシュウマイの違いは?”あん”を筒込みこむのが餃子、”あん”をどこかで見せるのがシュウマイなんだそうです。
レシピ本の内容は、「蒸して冷ます」5品、「器ごと蒸す」8品、「ご飯、麵を蒸す」4品、「包んで蒸す」9品、「揚げて蒸す、蒸して炒める・・・」7品、「魚介を蒸す」3品、「蒸すデザート」4品、「蒸しスープ」3品ですので、合計43で〜す。
最近、チューボーですよを見て、肉まんにトライしましたが、出来たては肉汁ジュワーで感動しました。蒸し料理はいいですね。