ブログ(レシピ本の紹介など)

レシピ本の紹介を中心に料理関連のブログ

『じゃがいもフレンチ』 斉藤美穂

2009年10月刊。柴田書店にしては1900円と(税別)リーゾナブルな価格設定。

ところが、使うじゃがいもは「シンシア」「シェリー」「チェルシー」「サッシー」「男爵」「メークイン」「ノーザンルビー」「シャドークイーン」の8種類なのです。一般に流通しているのは男爵とメークインくらいですから、ハードルの高さにまず、しびれます。

レシピは、じゃがいものサラダ9つ、前菜18こ、スープが7つ、揚げが9つ、じゃがいもの料理28、スイーツが8つと分かれています。著者はもともとメキシコでロブションの弟子の元で修行、パリへ渡り、ロブションの元で修行とあります。余談ですが、なかなか女性がシェフとして活躍するのはハードルが高いのか、お店を構える女性は少ないですね。

コロッケは30秒くらいあげて、残りはオーブンで火を通すと軽い仕上がりになるとか、ピンチョスのイモは100度で45分かけて火をいれるとか、手間を惜しまない手法が紹介されています。

グラタンやポワレなどベーシックなフレンチっぽいですが、初心者にはちょっとハードルが高いかも〜。柴田書店だから、やむなし。(472字)

 

 

じゃがいもフレンチ―煮る・焼く・蒸す・揚げる-じゃがいもを使いこなす79品

じゃがいもフレンチ―煮る・焼く・蒸す・揚げる-じゃがいもを使いこなす79品

 

 

『ビストロ流おいしいソース・レシピ』

『ビストロ流ベーシックレシピ』の続編でしょうか。ソース別のレシピが紹介されていて、ベーシックより少しハードルが高く、新たなチャレンジしたい人にはぴったりの内容です。

 巻頭に究極のフォンとして鶏のコンソメと牛のブイヨンを紹介。ソースが大きく6つに分類されていて、それを使った料理をのレシピが掲載されています。

 白いソースが7種とそれを使った14のレシピ。茶色のソースが5種と9つのレシピ。乳化のソースが5種と9つのレシピ。野菜のソースが4種と9つのレシピ。その他のソースが6種と11のレシピ。伝統料理から生まれるソースは5種と12のレシピ。合計すると、ソースが32種、64のレシピになります。

 どれもこれも写真が美しいせいか、おいしそうで手間をかけてもつくってみたくなります。たまたま牛のグラスフェッドど挽肉を買ったので、簡単ソーセージ(p38)を試しました。本では鍋でゆでる方法をメインで紹介していますが、加熱はフライパンで空焼きする方法もあるというので、そちらを試しました。シンプルでおいしいです。パーティー用なら、テリーヌの型に入れて湯煎で火を入れても良さそうです。

 トマト好きなので、「ソース・トマト」「クーリ・ド・トマト」はシンプルで何にでも使い回しがききそうです。黒オリーブを使う「ソース・タプナード」も、普通のオリーブでとりあえず試しましたが、そのままバケットにのせても美味しかったです。

 個人的にはマッシュルームを使うもの、ロックフォールを使うもの、ビールを使うもの色々試したいものが満載です。なんか料理が少しマンネリ化してるな〜、という達人?!におすすめ1冊です。(667字)

 

ビストロ流おいしいソース・レシピ ル・マンジュトゥー谷 昇シェフの

ビストロ流おいしいソース・レシピ ル・マンジュトゥー谷 昇シェフの

 

 

『ビストロ流ベーシック・レシピ』

「ル・マンジュ・トゥー」谷シェフのレシピ本。世界文化社2013年11月刊。「ベーシック」というタイトルどおり、巻頭に誰もが愛する洋食として「ハンバーグ」「オムライス」「チキンライス」「欧風ビーフカレー」「シーフードマカロニグラタン」「海老フライ」「かにクリームコロッケ」と7点を紹介。

それから肉料理14点、魚料理10点、ドレッシング&ソース14点、野菜料理21点、じゃがいも料理9点、卵料理9点、煮込み料理11点のレシピが掲載されています。

 『ビストロ仕込み・・・』以来の一般向けのレシピ本です。柴田書店から2003年にプロ向けの『素描(デッサン)するフランス料理』がありましたが、こちらは食材のハードルが高すぎだったので、見つけてうれしかったです。

「ハンバーグ」や「ビトック」などの挽肉料理は、つなぎを使わないので冷やして粘りを出すようにこねるとか、カレーにいれる野菜は甘みをひきだすために揚げ焼きにする、フライパンでつくるローストビーフなど、試したいことばかりです。

 そして煮込み料理のレシピにはありました!「プーレ・オ・ヴィネーグル」

『ビストロ仕込み・・・』にもあった骨付き鶏肉のヴィネガー風味です。今回は4人前から2人前にやさしく変更。骨付きもものさばき方、塩の仕方、焼き方までばっちり習得してますので復習です。

発見は、さばき方で「すねの先の細い部分に切り込みをいれてアキレス腱を切り、焼き縮みやつれを防ぐ」!これ鶏モモでよくあるんですよね、メモメモ。

さて、仕上げですが、ななんと ビネガーは白から赤ワインビネガー押しに代わっています。ぶっちゃけ、ワインビネガーのちがい舐めてもよくわかりませんが、火を入れた時の香りですかね。今度ワインビネガーだけでやってみようかな〜。もったいないか。

お値段も1600円、洋食のレシピ本1冊だけ買うならこれしかないでしょ〜。(783字)

 

ビストロ流 ベーシック・レシピ -----ル・マンジュ・トゥー 谷昇シェフの

ビストロ流 ベーシック・レシピ -----ル・マンジュ・トゥー 谷昇シェフの

 

 

『ゆっくり発酵スコーンとざっくりビスコッティ』

最近、家で糖質を控えるようになったので、以前ほどパンを焼かなくなってしまったのですが、高橋雅子さんの『少しのイーストでゆっくり発酵パン』(2007年1月PARCO刊)がきっかけで粉もんに燃えました。10年ンくらいまえですね。

この本の素晴らしいのはイーストを少な目で発酵させるので夜寝る前に仕込んで、翌朝焼きましょうというサイクルでやるので、時間が効率的に使えること。レシピも基本のプチパンからハード系までひととおり網羅されているのでこれ一冊でいろいろ試せました。高橋さんの本がすっかり気に入ってしまったので『ゆっくり発酵スコーンとざっくりビスコッティ』と『ゆっくり発酵ベーグル』も買いました。

スコーンとビスコッティはボールとカードだけでできるので、パンよりもお手軽です。スコーンはこの本のレシピでつくると層ができて、いいカンジの食感になりました。ビスコッティは2回焼きますが、発酵もいらないのでさらに簡単かもしれません。

ベーグルはねじてつなぐ成形とお湯で茹でるケトリングという工程が達成感があって楽しいです。

手作りパンやベーグルがハードル高いと感じる方は、『スコーン・・・』が粉もん入門書としてはよいと思います。こねる台とかいらないので。(624字)

 

ゆっくり発酵スコーンとざっくりビスコッティ

ゆっくり発酵スコーンとざっくりビスコッティ

 

 

『とっておきの酒のつまみ』

 

京都祇園さゝ木 主人・佐々木浩のとっておき酒のつまみ (講談社のお料理BOOK)

京都祇園さゝ木 主人・佐々木浩のとっておき酒のつまみ (講談社のお料理BOOK)

 

 

日本酒にあう肴をつくろうというお題がありまして、祇園の佐ゝ木のご主人が書いたこれをオンラインで注文しました。実物みてたら悩んだかも・・・。

表紙のコピーには「あの名店の大将が仕事の後の自分のために作る絶品酒肴70選!」とあります。コンセプトはまえがきにあるとおり、「全国どこでも入手できる定番の調味料を使い・・・」「グラム数やミリリットルも家庭用に四捨五入」ということらしく、そこが私的にはちとマイナスポイント。巻末に紹介されている調味料も気になったのは石野の白みそ、臨醐山の黒酢ぐらいであとはスーパーで並んでいるようなものばかり(コンセプトどおり)。もう佐々木さんのこだわりを出してほしかった。

70選は、

  • 和えるつまみ(17)、
  • 焼くつまみ(17)、
  • 煮たり炊いたり(15)、
  • 揚げる炒める(5)、
  • 〆の一杯(10)

と実は64じゃんか、とつまらないツッコミをいれておきます。コラムで紹介のだし汁、土佐酢、玉みそをいれても足りませんね。

でも色々参考になりそうなところが多々ありました。たとえば

・「かぼちゃのクリームチーズ和え」「焼きポテトサラダ」かぼちゃもポテトも焼いて旨みを凝縮させるというアプローチ

・魚の塩焼きは重量の2%の塩で、茶こしを使ってまんべんなくふる

・「手羽先と冬瓜の炊いたん」では鶏の実ではいちばん旨みが強いのは手羽先、グリルで焼き色がつくまで焼く。冬瓜のゆでかげんは、表面が少し透明になるくらい

・「鶏肝煮」では、レバーを熱湯にさっとくぐらせてから牛乳に30分浸して水洗い

など、ぜひ試したいところです。

「きずし」の鯖の処理も、塩ふって2時間おいて脱水、水気をふいて、最低6時間おおいて(塩を浸透させてから)から、酢でしめるのがよいそうです。

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佐々木ファンなので期待値が高すぎましたが、肴のレシピ本としてはオススメです。(869字)

 

 

 

 

 

 

 

『新版ごはんとおかずのルネサンス』基本編

代官山のイルプルーというフランス菓子のパティシエ弓田亨さんと椎名眞知子さんの本。新版とありますが、2010年に改訂版として出された本。

レシピ本でありながら、お二人の提唱するルネサンスごはんの哲学書といえるような気合いの入った本。

基本の考えは

1)先人の日本の食、素材に立ち返る

2)いりこを中心、昆布、鰹節など合わせて出しをとり、全部食べる

3)灰汁抜き、下茹でしない

4)砂糖・みりんは使わない

5)味噌の重要さを再認識

6)化学製塩をやめ、海塩、岩塩を使う。

ということ。1と4と6は、『医学不要論』などで知られる内海医師の主張と同じです。砂糖・みりんを使わないと多くの和食レシピがNGとなりますが、パティシエの著者が断言しているのは注目に値するのではないでしょうか。

料理法としても、冷凍保存ダメ、電子レンジダメ、圧力鍋ダメと栄養素を破壊するのはNGだそうです。

ごはんを炊くのも、玄米とタイ米をミックスして、いりこ、昆布、岩塩、スペイン産アーモンド、オリーブオイルと一緒にという初めてみたらビックリのレシピです。

お子さんがアトピーとかで困っているお母さんはいちど参考にされたらいいのではないでしょうか。(657字)

 

ごはんとおかずのルネサンス 誰もが忘れていた日本の真実の味わい 〔基本編〕 (ごはんとおかずのルネサンスプロジェクト)

 

『祇園さゝ木の12か月 直伝レシピ手習い帖』

日本料理のレシピというと黒豆を炊くのに錆びた釘を、とかイマドキ錆びた釘が家庭にあるのか、とツッコミたくなったりして、あまり食指が動かないのですが、こちらは出汁の取り方をはじめ、コンサバな日本料理界にあってオープンマインドなスタンスが気持ちいいので購入。予約の取れない祇園ささきのご主人が伝授する37品のレシピが掲載されています。

先日オンエアされた『食彩の王国』(たまごhttp://www.tv-asahi.co.jp/syokusai/)で、餌に昆布まで使っているのに触発されて・・・というエピソードにも登場してました。

本は2009年3月朝日新聞出版刊。けっこう昔の本でした。佐々木さんの数少ないレシピ本で、お店で出てくる高級食材がメインなので、気軽にお試しできるメニューはあまり多くないのですが、ご主人の考え方やアプローチが12か月に分けて紹介されているので読み物としても楽しめます。

出汁は昆布を水出して、夏は二晩、冬は三晩付ける!というので、ものぐさ、週末料理派には朗報ではないでしょうか。カツオ節は85度で投入し、92~3度で火を止めて、温度が上がりすぎないように玉杓子1杯の水をいれて、火からおろして5分待てばいいそうです。簡単っす(笑。それから、キッチンペーパーやさらし布でなく、ネルの生地で漉すのがベストだそうです。温度計はあるけど、ネルはどこで買ったらいいでしょうかね。渋谷のマルナンが閉店しちゃってますからね。

また、見学に来たフランス人二つ☆シェフに出汁の取り方を見せたら、その場でカブをおろして出汁をとってみせた・・・というエピソードも紹介されています。

うちの場合、ものぐさなので普段は利尻昆布と長崎のいりこを水につけて半日以上漬けて放置。昆布もいりこも味噌汁の具として食べちゃいます。

 あと、時々場外で鯖を買って〆るのですが、佐々木さんの鯖寿司は、塩をして1週間も寝かせる!というのはビックリです。6時間塩して水分を拭き取って真空にしてからだそうです!!私が参考にしている江戸前の寿司屋さん(HPですけど)はそこまでしてるのは見たことないですね。

レシピ本は2冊しか出されてないのでささ木ファンは必携かも。

 

祇園さゝ木の12か月 直伝レシピ手習い帖

祇園さゝ木の12か月 直伝レシピ手習い帖