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『トマト缶の黒い真実』

レシピ本ではないけど、気になっていた本です。

フランス人の筆者が、地元の「ル・カバノン」というトマト加工会社が中国資本に買収されて、不思議に思ったのが事のはじまり・・・というわけです。

原題は、レッドゴールドの帝国、つまりトマトがゴールドのようにおカネを稼ぐ企業群たち・・・というノンフィクション。

いち消費者として気になるとは、イタリアで作られたトマト缶が中国で作った3倍濃縮トマトが、2倍程度に薄められてイタリア産として輸出されている・・・というポイント。

「再輸出加工手続き」という仕組みで、外国産を輸入して、加工しそのまま輸出してしまえばOKというゆる~い規制のおかげなのだ。

 

トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ)

トマト缶の黒い真実 (ヒストリカル・スタディーズ)

 

 

何年か前に、イタリア産のオリーブオイルはスペイン産やギリシャ産を瓶詰めしてるの多し、なんて記事あったけど、同じからくりなんでしょうね。農産物に限らず、香水や宝石もあるかもね~。

この本のポイントは、

・トマト生産の末端では低賃金の労働者が搾取されている

・米ハインツはアメリカの労使関係がタフだった時代に、家長的マネジメントでうまくやり、同時に大規模・効率も追求してきたユニークな企業である

・中国の参入は1990年代から儲かるのでバンバン工場作って、過当競争になるほど、やりすぎた時代があった。

・イタリアはイタリアでマフィアがらみだったり、ムッソリーニがらみだったり、黒い歴史背景がたんまりあった。

・アフリカ市場へ中国が直接参入していろいろ問題もありそう。

など多岐にわたる、単なる食品偽装の告発本というより、壮大なトマトを巡るグローバル化の恐ろしさを描いています。

 

うちはハインツのオランダ産のケチャップを使ってますが、オランダのトマトを使っているか疑わしいですね。トマト缶も生協で売っているイタリア産の箱のやつをつかっていますが、イタリアの工場でつくっているでしょうが、トマトの原産地は?です。

 

で、ちょろっと、日本の輸入統計をみると、トマト調製品というのがありました。

で、トマトピューレ・ペーストの輸入国は、1位アメリカ、2位ポルトガル、3位中国、4位スペイン、5位チリ、6位イタリア~w

トマト(調整したもの)は、堂々1位イタリア(88%、数量)が圧勝。

トマトケチャップはアメリカとオランダ。

というわけで、ピューレ・ペーストは食品産業、外食産業が利用しているかな~

トマト(調整したもの)は、トマト缶でしょうね~。

 

本のエンディングは、ブラックインクという酸化したトマトを添加物や着色料で商品化してしまう話や添加物のプロフェッショナルが登場したりして、ハンマーパンチを食らった気分になりますが、さあ~、どうしましょう~ね。

生以外のトマト食品、悔い改めるのは、かなりハードル高そうです(涙