『とっておきの酒のつまみ』
京都祇園さゝ木 主人・佐々木浩のとっておき酒のつまみ (講談社のお料理BOOK)
- 作者: 佐々木浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/05/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
日本酒にあう肴をつくろうというお題がありまして、祇園の佐ゝ木のご主人が書いたこれをオンラインで注文しました。実物みてたら悩んだかも・・・。
表紙のコピーには「あの名店の大将が仕事の後の自分のために作る絶品酒肴70選!」とあります。コンセプトはまえがきにあるとおり、「全国どこでも入手できる定番の調味料を使い・・・」「グラム数やミリリットルも家庭用に四捨五入」ということらしく、そこが私的にはちとマイナスポイント。巻末に紹介されている調味料も気になったのは石野の白みそ、臨醐山の黒酢ぐらいであとはスーパーで並んでいるようなものばかり(コンセプトどおり)。もう佐々木さんのこだわりを出してほしかった。
70選は、
- 和えるつまみ(17)、
- 焼くつまみ(17)、
- 煮たり炊いたり(15)、
- 揚げる炒める(5)、
- 〆の一杯(10)
と実は64じゃんか、とつまらないツッコミをいれておきます。コラムで紹介のだし汁、土佐酢、玉みそをいれても足りませんね。
でも色々参考になりそうなところが多々ありました。たとえば
・「かぼちゃのクリームチーズ和え」「焼きポテトサラダ」かぼちゃもポテトも焼いて旨みを凝縮させるというアプローチ
・魚の塩焼きは重量の2%の塩で、茶こしを使ってまんべんなくふる
・「手羽先と冬瓜の炊いたん」では鶏の実ではいちばん旨みが強いのは手羽先、グリルで焼き色がつくまで焼く。冬瓜のゆでかげんは、表面が少し透明になるくらい
・「鶏肝煮」では、レバーを熱湯にさっとくぐらせてから牛乳に30分浸して水洗い
など、ぜひ試したいところです。
「きずし」の鯖の処理も、塩ふって2時間おいて脱水、水気をふいて、最低6時間おおいて(塩を浸透させてから)から、酢でしめるのがよいそうです。
佐々木ファンなので期待値が高すぎましたが、肴のレシピ本としてはオススメです。(869字)
『新版ごはんとおかずのルネサンス』基本編
代官山のイルプルーというフランス菓子のパティシエ弓田亨さんと椎名眞知子さんの本。新版とありますが、2010年に改訂版として出された本。
レシピ本でありながら、お二人の提唱するルネサンスごはんの哲学書といえるような気合いの入った本。
基本の考えは
1)先人の日本の食、素材に立ち返る
2)いりこを中心、昆布、鰹節など合わせて出しをとり、全部食べる
3)灰汁抜き、下茹でしない
4)砂糖・みりんは使わない
5)味噌の重要さを再認識
6)化学製塩をやめ、海塩、岩塩を使う。
ということ。1と4と6は、『医学不要論』などで知られる内海医師の主張と同じです。砂糖・みりんを使わないと多くの和食レシピがNGとなりますが、パティシエの著者が断言しているのは注目に値するのではないでしょうか。
料理法としても、冷凍保存ダメ、電子レンジダメ、圧力鍋ダメと栄養素を破壊するのはNGだそうです。
ごはんを炊くのも、玄米とタイ米をミックスして、いりこ、昆布、岩塩、スペイン産アーモンド、オリーブオイルと一緒にという初めてみたらビックリのレシピです。
お子さんがアトピーとかで困っているお母さんはいちど参考にされたらいいのではないでしょうか。(657字)
ごはんとおかずのルネサンス 誰もが忘れていた日本の真実の味わい 〔基本編〕 (ごはんとおかずのルネサンスプロジェクト)
『祇園さゝ木の12か月 直伝レシピ手習い帖』
日本料理のレシピというと黒豆を炊くのに錆びた釘を、とかイマドキ錆びた釘が家庭にあるのか、とツッコミたくなったりして、あまり食指が動かないのですが、こちらは出汁の取り方をはじめ、コンサバな日本料理界にあってオープンマインドなスタンスが気持ちいいので購入。予約の取れない祇園ささきのご主人が伝授する37品のレシピが掲載されています。
先日オンエアされた『食彩の王国』(たまごhttp://www.tv-asahi.co.jp/syokusai/)で、餌に昆布まで使っているのに触発されて・・・というエピソードにも登場してました。
本は2009年3月朝日新聞出版刊。けっこう昔の本でした。佐々木さんの数少ないレシピ本で、お店で出てくる高級食材がメインなので、気軽にお試しできるメニューはあまり多くないのですが、ご主人の考え方やアプローチが12か月に分けて紹介されているので読み物としても楽しめます。
出汁は昆布を水出して、夏は二晩、冬は三晩付ける!というので、ものぐさ、週末料理派には朗報ではないでしょうか。カツオ節は85度で投入し、92~3度で火を止めて、温度が上がりすぎないように玉杓子1杯の水をいれて、火からおろして5分待てばいいそうです。簡単っす(笑。それから、キッチンペーパーやさらし布でなく、ネルの生地で漉すのがベストだそうです。温度計はあるけど、ネルはどこで買ったらいいでしょうかね。渋谷のマルナンが閉店しちゃってますからね。
また、見学に来たフランス人二つ☆シェフに出汁の取り方を見せたら、その場でカブをおろして出汁をとってみせた・・・というエピソードも紹介されています。
うちの場合、ものぐさなので普段は利尻昆布と長崎のいりこを水につけて半日以上漬けて放置。昆布もいりこも味噌汁の具として食べちゃいます。
あと、時々場外で鯖を買って〆るのですが、佐々木さんの鯖寿司は、塩をして1週間も寝かせる!というのはビックリです。6時間塩して水分を拭き取って真空にしてからだそうです!!私が参考にしている江戸前の寿司屋さん(HPですけど)はそこまでしてるのは見たことないですね。
レシピ本は2冊しか出されてないのでささ木ファンは必携かも。
料理のなかの小宇宙『レザンファン ギャテのテリーヌ』
料理歴15年にしてはじめてテリーヌにハマりました。きっかけは代官山の「レザンファンギャテ」に伺って、なんじゃこりゃ〜。美しいウマい! 本のタイトルに小宇宙とありますが、アートじゃんかというプレゼンテーション。それまでテリーヌなんて、オードブルか保存食でしょと思ってました。松澤シェフすいません、浅はかでしたw。
さてテリーヌ関連本、書店でいろいろ拝見しましたが、やはり「レザンファン」に敬意を表して(世界文化社2014年9月刊)この本を購入しました。
美しい・・・すごい手間掛かっている、というレベルです。
1)四季を感じる旬菜テリーヌ(14点)、2)伝統の一皿とアレンジテリーヌ(12点)
3)リエットやパテ〜フランス常備菜風のテリーヌの仲間達〜(7点)、4)デザートテリーヌ(10点)、5)テリーヌが流れを作るおもてなしスタイル(コース2種:計7点、パーティ2種:計10点)と、テリーヌ以外のレシピも少し紹介があります。
もうちょっと入門的な素材でもやってよ~と言いたくなりますが、ミシュラン☆ですから、妥協はありません。
型はストウブのハーフを推奨、アルミホイルやラップの入れ方など基本的なことのヒントになる記事もあります。
やってみると分かるのですが、材料いれて湯煎で焼くだけなので仕込みのあとは楽ちんですが、焼きあがった後に、きれいに取り出して切って仕上がりの断面がどうなったか見るというのがもっとテンションあがる瞬間です。
じつはテリーヌというのは、テリーヌの型を使っていればなんでもよしというザックリした定義らしい。とはいえ、代表的なものはパテドカンパーニュのように湯煎で火をいれるものか、ゼラチンなどで冷やして固めたものの2パターンです。
この本にも伝統的な料理(例えばラタトゥイユ)からテリーヌにコンバージョンするという例が紹介されていたり、海老芋と海老のテリーヌのようにダジャレから発想したと記されていたりして、イマジネーションを働かせてクリエイトしている様子が読み取れます。手に入りやすい食材をつかって、オリジナルで広島焼風テリーヌとかやってみいいのでは~?と思っています。(972字)
『蒸すっておいしい』
昔、横浜の中華街「照宝」でセイロを衝動買いしたものの、焼売ぐらいしか出番がありませんでした。
こちらの本(文化出版局2000年11月刊)を手に入れて、茄子やジャガイモを蒸したり、エビのすり身を作ってレンゲにのせて蒸したり、色々とバリエーションができました。
なかでも簡単で美味なのが蒸し魚。内臓とって鱗を落として、ごま油、ナンプラー、ショウガなどを加えて蒸すだけで、お~っと感動の美味しさです。
魚をグリルで焼くとあとの片付けが面倒ですが、蒸すだけなのでラクチンです。著者はNHKの料理番組にもよく登場する吉田勝彦さん。代々木上原の「ジーテン」のオーナーシェフ。余談ですが、吉田を中国語読みをするとジーテンなんだそうです。
レンコンで海老とひき肉を挟んで蒸すのも簡単で食感が楽しめます。シュウマイや餃子のタネが余っても、挟んで蒸しちゃえばいい感じです。
あと興味深いのが蒸し餃子にもシュウマイの皮を使うところ。つるりとした触感を味わうためだそうです。そもそも餃子とシュウマイの違いは?”あん”を筒込みこむのが餃子、”あん”をどこかで見せるのがシュウマイなんだそうです。
レシピ本の内容は、「蒸して冷ます」5品、「器ごと蒸す」8品、「ご飯、麵を蒸す」4品、「包んで蒸す」9品、「揚げて蒸す、蒸して炒める・・・」7品、「魚介を蒸す」3品、「蒸すデザート」4品、「蒸しスープ」3品ですので、合計43で〜す。
最近、チューボーですよを見て、肉まんにトライしましたが、出来たては肉汁ジュワーで感動しました。蒸し料理はいいですね。
『ビストロ仕立てのスープと煮込み』その2
「鶏肉の煮込みヴィネガー風味」以外によくリピートするのは、「オニオングラタンスープ」「インド風チキンカレー」「ロールキャベツ」。
今はなまけて飴色タマネギを作るのに圧力鍋を使っちゃいますが、フライパンで根気よく炒めるとタマネギが褐色になって最初に入れたバターの油がうっすらと浮かび上がるのに妙に感心したことがありました。
チキンカレーも鶏肉にきっちり焼き色を付けてから煮込むので、うまみが閉じ込められるようで、試したことなければトライしてみてください。
ロールキャベツはタマネギ・ニンジン・セロリのマティニヨンのトリオを種にいれるので、タマネギオンリーより深い味が旨みとなっておすすめです。
あと1/3Pでさりげなく紹介されている「トマトのコンソメ」も最近はあちこちでトマトのジュレとして散見しますが、ミキサーかけて、アスコルピン 酸1g加えて、ひと晩ねかして分離させて、果実部分をよけて、ゼラチンで・・・という手間のかかる一品ですが、暑い時期のおもてなしの前菜にすると、爽やかでおすすめです。(442字)
『強火をやめると、誰でも料理がうまくなる!』
(講談社+α文庫) [Kindle版]2013年8月刊。
麻布十番で料理教室を主宰するという水島弘史シェフの本。
ロジカルとか、科学的とか、謳っていると気になってしまうので、とりあえずキンドル版をゲット。
・低速で加熱することで、しっかり火を通し、タンパク質をアミノ酸に分解し、うまみ成分に変える。
・塩分を0.8%~0.9%が人の体液の塩分濃度と同じで、これを美味しく感じるはず。
・100gの肉は80gに焼き上げると美味しい。
など、なるほど料理の基本をロジカルに再確認できました。
レシピはハンバーグやとんかつ、ステーキ、ローストなど基本的なものばかりですが、著者の続編がいろいろあるので、ロジックでなく、レシピを求める場合は、それらの本を買った方がいいでしょう。私もほかに2冊ほど買ってみたので近々こちらでご紹介します。(339字)